愛知産業保健総合支援センター

産業保健情報・統計

東三河地域の事業場におけるがん罹患者等への就労支援状況について(豊橋労基署からの情報)

東三河地域の事業場におけるがん罹患者等への就労支援状況について
 ~「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」に係る豊橋労働基準監督署のアンケート調査結果から~

豊橋労働基準監督署

1.はじめに
 1981年以来、がんは日本人の死因第1位で、2人に1人が生涯に一度は罹患する身近な疾患です。毎年約85万人が新たにがんに罹患し、その3割が就労世代(20-64歳)です。がん医療の進歩により生存率が向上するにしたがって、がんの既往者や有病者が安心して就労できる社会基盤の整備が課題となっています。具体的には、がん患者の就労継続、新規就職などの支援が益々必要とされています。これらを踏まえ、厚生労働省は平成28年2月「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」*(以下「ガイドライン」という)を策定し、その実施を事業場に求めています。
 そこで、豊橋労働基準監督署(署長 加藤善士、以下「当署」という)では、ガイドラインの普及状況の確認、がん罹患者への就労支援状況、労務担当者等のがんへの認識について、管内の状況をアンケート調査しました。
(なお、後述するとおり、当署では調査結果を踏まえ、ガイドラインの説明会を予定しています。)

2.調査方法
 豊橋労働基準協会(会長 豊川信用金庫)に協力を求め、協会が毎月発行する会報(平成28年7月号)を送付する際、当署長名のガイドライン周知及び調査協力の依頼文書を添え、アンケート調査票を同封し、調査を実施しました。なお、豊橋労働基準協会は、当署管内(東三河地域の5市1郡)の民間事業場(約1000事業場)を構成員とする任意団体です。
 調査票の回収は、当署へのFAX提出によるものとしました。また、調査目的はガイドライン周知のための実情把握であること等から、調査票は無記名とし、回答内容等から事業場を特定できないように配慮しました。
 調査票には、業務内容、事業場の労働者数(男・女、正規・非正規別)、健康管理スタッフ内訳(産業医・看護師等の専門職別)、正規・非正規従業員別の各種就労制度(時差勤務、日・月の所定時間短縮、時間単位休暇、病気休暇)の有無、私傷病時のそれら制度利用可否、健康管理スタッフの私傷病者へのサポート内容、過去3年間のがん罹患者の有無、有の場合の休業期間、復職状況、離職・退職状況、ガイドラインの周知状況、またがんに対する認識(生涯罹患率、5年生存率等)等について、選択・自由記載等によるものとしました。(調査票:別添1

3.調査結果
 調査票を配布した約1000事業場の内、266事業場から回答があり、これについて解析しました。
回答事業場概要:別添2、記載された業務内容から製造、建設等の判断をしました。)
 主要項目の回答は次のとおりです。
① ガイドラインを見たことがあるは50事業場で18.8%。
② ガイドラインについての説明会を開催した場合、参加希望するは122事業場で45.9%。
③ 過去3年間に私傷病で1ヶ月以上連続して休業した従業員がいたのは139事業場(52.3%)。
④ 過去3年間にがんに罹患した従業員がいたのは76事業場(28.6%)。
 今回の調査結果から、私傷病で休業している者に対して、健康管理スタッフの多くは「病気や治療の見通しが分からないこと、復職の可否判断が難しいこと」で苦慮していることや、がんに罹患した場合、休業期間は多くが3ヶ月以内であり、殆どの方が1年以内であること、さらに復職は同職場・同職種の場合が殆どであることがわかりました。
回答結果:別添3-数字のみは件数、中央値とはデータを値の大きさ順に並べた時、真ん中にくる値)
東三河地域における「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」に係るアンケート調査結果(平成28年7月実施)

4.結果について
 今回の調査は、事業場を特定できない形で行いました。そのため、回答内容を個別に照会して、内容の正確性を確かめることはできませんでした。また、がんの罹患状況では、年齢、がんの部位等を調査していません。がんの罹患者数について「回答を遠慮する」と明記した調査回答もあることや、現実的に、事業場が非正規従業員(雇用期間の決まっている、フルタイムでない者)に対して、正規従業員と同じレベルで私傷病を把握しているのか、との疑問もあります。このため、調査結果を直ちに一般化できるものではありません。
 しかし、各種就労制度の導入状況、休業期間、復職の状況、がんについての認識、また事業場担当者が考える周知状況については、今後、ガイドラインを周知啓発していく際には、参考となると思われます。

5.今後の当署対応
 アンケート調査から、ガイドラインへの関心が高いことが判明しました。
 これを踏まえ、愛知産業保健総合支援センターと豊橋労働基準協会の共催によるガイドラインに係る説明会(無料)を、平成29年1月17日(火)、当署管内(豊橋市)で開催し、より一層のガイドラインの普及を図ることを予定しています。

6.備考
 アンケート調査において協力していただいた豊橋労働基準協会及び会員皆様のご協力に感謝申し上げます。また、調査票作成・解析等において、藤田保健衛生大学公衆衛生学教室(八谷寛教授)のご協力・ご意見等を頂きました。
 なお、調査項目・表現等は、東京都が実施した「がん患者の就労等に関する実態調査」(平成26年5月)を参考にしました。

 


 

【参考】

✽「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン

  • 地域産業保健センター
  • 治療と仕事の両立支援
  • あいち地域両立支援推進チーム
  • ストレスチェック制度
  • 調達関係情報
  • 調達関係情報
  • リンク集
  • ご相談・お問い合わせ
  • 独立行政法人 労働者健康安全機構
  • 第6回がん就労を考える会の開催について